Score: 9/10

幻のアメリカ
Reviewed by ukb

1968年という象徴的な年にリリースされたザ・バンドの1stアルバム.
ブルース,ゴスペル,ソウル,ロックンロール,カントリー,クラシック...などあらゆるアメリカのルーツ音楽が深いところで溶け合って逆説的に唯一無二でありながらどこか懐かしい音楽というこのバンドの特異性が最も分かりやすく出ているのがこのアルバムであると思う.5人のメンバー中リヴォン・ヘルムを除く4人がカナダ人であることが意外だが,むしろアメリカのルーツにたいして客観的でいられたからこそ到達できた境地とも言える.畢竟彼らの描くアメリカは田舎の,土着的な,古き良きアメリカでありながら,それはもうどこにもない,観念的な,幻のアメリカなのだった.そしてそのことは,1968年という”反逆の時代”の真っ只中で若者的な運動にあえて背をむけるような彼らの”反逆への反逆”という態度――例えば1曲目のTear Of Rageは反逆者の若者が流しているのではなく,そのような若者=娘に裏切られた父親が流している怒りの涙である――と不可分なものとしてあるように思う.




   
   



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